言葉遣いは難しいもので、一見敬語表現のように見えてそうでないものもあります。
今回の「申し出る」もそのパターンに該当するフレーズであり、これより解説いたします。
「申し出る」とは?
「申し出る」とは?
「申し出る」とは、「自分から意見や要望を言う」という意味があります。
注意しなくてはならないのは、この「申し出る」に謙譲表現としての意味はないということです。
確かに「言う」の謙譲語は「申す」ですから、一見すると謙譲表現であると勘違いするのも無理はありません。
しかしながら、「申(す)」が使われる言葉の「申し込み」や「申し立て」などには、現代において基本的に謙譲の意味はありません。
また、動詞の連用形は連体形同様に、「名詞的用法」をされることがあり、「申し出」もこれに該当しますが、「申し出」にも当然謙譲の意味はありません。
よって「お申し出ください」のような尊敬表現にも普通に使えるのです。
「申し出る」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「申し出る」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「自分から(率先して)意見や要望を言う」のが「申し出る」の意味ですので、使用もこのような場合になります。
例えば、「内定の辞退を申し出る」という文章が典型例です。
また、先程も説明した通り、「謙譲の意味はない」フレーズですので、「社長自ら辞任を申し出る」のような表現も可能であることに注意しましょう。
「申し出る」を使った例文や文章
「申し出る」を使った例文や文章
それでは、他に考えられる「申し出る」の使用例を挙げてみましょう。
・『辞退を申し出ることをためらってはいけません』
・『大物俳優が自ら出演を申し出る』
・『救援部隊への参加を申し出る』
「申し出る」の類語や言い替え
「申し出る」の類語や言い替え
「申し出る」の言いかえ表現としては、「申し立てる」や「言い立てる」がまず考えられます。
これらには「自分の主張や要望を強く述べる」という意味があります。
また、いわゆるカタカナ英語的な使い方にはなりますが、「オファーする」が、「申し出る」の代わりに使用されるケースが目に付くようになっていることにも注目すべきです。
まとめ
まとめ
「申し出る」とは、「(自ら率先して)意見や要望を言う」ことを意味します。
「申す」が使われているものの、基本的に「謙譲」の意味はないことに注意が必要です。