日本語は相手に気を遣う、「配慮」に関する表現が特に多く、それに伴い「謙譲表現」も多くなっています。
今回の「ご笑覧いただければ」もそのようなフレーズであり、これより解説いたします。
「ご笑覧いただければ」とは?
「ご笑覧いただければ」とは?
まず「笑覧」から見ていきましょう。
「しょうらん」と読み、意味は「大したものではないと笑いながら見ること」です。
「笑覧」するのは相手ですから、「ご」は当然尊敬表現として機能しています。
一方でこのフレーズ自体は、「〜してもらえる」という内容を謙譲表現にする典型的パターンの「ご〜いただける」の形を取っています。
「いただける」は、「いただくことができる」と言う内容を一語で表現できる謙譲動詞ですが、仮定の接続助詞「ば」を付けるため「いただけれ」と連用形に変化しています。
よって、「ご笑覧いただければ」とは、「大したものではないと笑って見てもらえたら」という内容を謙譲表現にしたフレーズなのです。
「ご笑覧いただければ」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「ご笑覧いただければ」の使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズが使われる場面は、仕事関連というよりは、自分の趣味などプライベートな場面で作成したものを相手に見てもらいたい時です。
「真剣に見てもらうような大したものではないので、軽い気持ちで見て欲しい」という意味で使用されます。
相手に自分のことで時間を取らせるわけですから、配慮と自分の作ったものの出来をへりくだらせる謙遜の意図があります。
通常「ご笑覧いただければ幸いです」のような形を取りますが、「ご笑覧いただければ」の形でそのまま終えて、後は省略してしまうこともよくあるので注意してください。
「ご笑覧いただければ」を使った例文や文章
「ご笑覧いただければ」を使った例文や文章
それでは、他に考えられる例文を挙げてみましょう。
・『最近絵画教室に通って、風景画を描いてみましたので、ご笑覧いただければありがたい限りです』
・『お恥ずかしい限りですが、プライベートで書いてみた小説をご笑覧いただければと思います』
「ご笑覧いただければ」の言い換え表現
「ご笑覧いただければ」の言い換え表現
「ご笑覧いただければ」と言う表現は、「大したものではないので、(相手に)自分の作ったものを気軽に見てもらえれば(ありがたい)」という意図があるフレーズですので、この意図を表現できれば言い換えとして機能することになります。
よって、「大したことない作品」という意味の「拙作」「せっさく」という言葉と、「見ること」という意味の尊敬表現「ご覧」を用い、「拙作をご覧いただければ」がまず言い換え候補として挙げられます。
これを尊敬表現で統一すると、「拙作をご覧くだされば」になりますので、こちらでも問題ありません。
まとめ
まとめ
「ご笑覧いただければ」とは、自作の制作(製作)物を相手に見てもらいたい時に、相手に配慮しつつ「見て欲しい」とお願いする意図のある謙譲表現のフレーズです。
概ね、趣味などで作ったモノに対して用い、自分の作品の出来自体をへりくだらせる意図も含まれています。