この記事では、ビジネスの手紙等でも使われることが多い、「惜春の候」について、その意味や使い方等を分かりやすく説明します。
「惜春の候」とは?意味
「惜春の候」とは?意味
「惜春の候」の読みは漢字の音読みを連ねた「せきしゅんのこう」で、「過ぎ行く春を惜しむ季節」を意味する言葉です。
手紙やメールにおいては、本文の前に、冒頭で季節の挨拶と相手の健康を気遣う言葉が綴られますが、その中でひとつの季節を表現する言葉として使われている用語です。
もちろん、頻繁にメールをやり取りしている場合には季節の挨拶等は省略されることが少なくありません。
しかし、暫くご無沙汰している相手に対しては、季節の挨拶は必ず本文の前に書くのがマナーとして定着しています。
この「惜春の候」は意味からして、春の終わりの季節を指すことは分かりますが、実際にはいつ頃を指すのかを、次に説明します。
一般的に季節の挨拶で使われる言葉は、初春・仲春・晩春の三つに区分して使われており、この「惜春の候」は晩春に使われる言葉です。
一般的に晩春としては、二十四節気の清明から立夏の前日までの期間を指し、具体的には4月4日頃から5月4日頃までとなります。
従って、4月4日頃から5月4日頃に、手紙やメールで季節の挨拶を書く場合には、この「惜春の候」を使うのが良いと言えます。
ちなみに、季節を表現する言葉として、二十四節季名に「候」を付けて使うことも出来ます。
「惜春の候」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
「惜春の候」のビジネスでの使い方や使われ方、使うときの注意点
「惜春の候」は非常にかたぐるしい表現で、もちろん会話等で使われることはなく、先に記載した様に手紙文やメール文において使われる言葉です。
季節を表現する言葉なので、言葉自身の敬語表現はありませんが、かたぐるしい程のきっちりした言葉なので、前後の言葉を適切な敬語表現とすれば、もちろん取引先や目上の人に使える言葉です。
先にも触れたように、この言葉を使った季節の挨拶の後には、会社なら会社の発展を、個人なら健康や活躍を願う言葉を添えた挨拶文とされるのが、定番です。
次の例文で、こうした組み合わせの使用方法を確認してください。
「惜春の候」を使った例文
「惜春の候」を使った例文
・『拝啓 惜春の候、貴社におかれましてはますますご清栄の段、心よりお慶び申し上げます』
・『拝啓 惜春の候、佐藤様におかれましては、ますますご活躍のことと存じます』
・『拝啓 惜春の候、山田様におかれましては、その後お変わりなくお過ごしのことと存じます』
「惜春の候」の返答や返信例
「惜春の候」の返答や返信例
季節を表現する言葉を使って、丁寧な手紙やメールをいただいた際には、当然何らかの返事を差し上げるのがマナーです。
その際には、二十四節季をベースにしたものや、それが硬すぎると思われる場合には、春なら「桜が満開の季節」や「桜の蕾が膨らむ季節」や「春爛漫」などの言葉を使い、季節の挨拶をしっかり書いて返したいものです。
まとめ
まとめ
「惜春の候」は、「過ぎ行く春を惜しむ季節」を意味する言葉です。
手紙やメールの冒頭の季節の挨拶で、晩春を指す言葉として使われるもので、4月4日頃から5月4日頃に使うのが適切な言葉です。