日本語表現では、二重否定的な方法で肯定の意味を強調するパターンがよく見られます。
今回の「驚きを禁じ得ない」もその事例であり、これより解説いたします。
「驚きを禁じ得ない」とは?
「驚きを禁じ得ない」とは?
「驚き」は「驚く」の連用形であり、連体形同様に動詞の連用形を名詞的に使用する、典型的パターンです。
一方「禁じ得ない」は「きんじえない」と読み、「〜を止めるように命じる」という意味の「禁じる」の連用形「禁じ」に、可能性を表す動詞「得る」の未然形「得」が付き、更に否定の助動詞「ない」の終止形(もしくは連体形)が続く形です。
直訳すると「〜してはいけないと止めることは出来ない」という二重否定的な意味になり、結果として「〜は止められない」という意味になります。
感情をコントロール出来ない様を表現するのに用い、結果としてのその感情を強調する作用があります。
つまり、この「驚きを禁じ得ない」というフレーズは、「驚くことを(止めようにも)止められない」という意味になり、最終的には「(驚きを止められないほど)非常に驚いている状態だ」という意味になるのです。
「驚きを禁じ得ない」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「驚きを禁じ得ない」の使い方や使われ方、使うときの注意点
感情をコントロール出来ないほど、非常に驚いている状況を説明するのに用います。
例えば、「あまりに高い金額に驚きを禁じ得ない」であれば、「金額が高くて思わず驚いた」という意味になります。
他にも、「映画の想定外の結末に驚きを禁じ得ない」といった表現があり得るでしょう。
「驚きを禁じ得ない」を使った例文や文章
「驚きを禁じ得ない」を使った例文や文章
それでは、上記以外に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『突然の辞任発表に驚きを禁じ得ない』
・『あまりに酷い有様に驚きを禁じ得ない』
「驚きを禁じ得ない」の言い換え
「驚きを禁じ得ない」の言い換え
「驚きを抑えられないほど非常に驚いている」という意味のフレーズですから、類似表現の「驚きを隠せない」がまず言い換えの候補となります。
また、「驚きの感情を抑えられない」でも同じく言い換えとして成立します。
尚、「非常に驚く」というシンプルな意味をより重視するのであれば、非常に驚くことを意味する「驚愕」「きょうがく」を用い、「驚愕に値する」という表現もまた言い換え表現として機能するでしょう。
まとめ
まとめ
「驚きを禁じ得ない」とは、驚きの感情を止められないほど驚いている状態を意味するフレーズです。
「禁じ(る)」に「得ない」を付けた二重否定的な表現であり、元の言葉(この場合は「驚き」)を強調する効果があります。