敬語表現は難しいものですが、今回の「持参いたします」も勘違いしやすい要素がある敬語表現の1つです。
今回はこのフレーズについて解説いたします。
「持参いたします」とは?
「持参いたします」とは?
まず「持参」について解説いたします。
「じさん」と読み、意味は「金銭や物を持って行くこと」または「金銭や物を持って来ること」です。
一方「いたします」は、「する」の謙譲語「いたす」の連用形「いたし」に、丁寧な表現にするための助動詞「ます」の終止形もしくは連体形が付いた形です。
よって、このフレーズは「金品を持って行きます」や「金品を持って来ます」という内容の謙譲表現となります。
ただ、「持参いたします」は、同じ謙譲表現を2つ重ねた、いわゆる「二重敬語」という指摘をたまに受けることがあります。
確かに「持って参る」が「持って行く」の謙譲表現であるため、「持参」自体が謙譲表現と勘違いされやすいのですが、「持参」自体には謙譲の意味はありませんので、全く問題がない表現です。
「持参いたします」の使い方や使われ方、使うときの注意点
「持参いたします」の使い方や使われ方、使うときの注意点
このフレーズを伝える相手の元に、金品を持って行く場合に使用されます。
例えば、相手の会社に出張のお土産を持っていく場合、「次の機会に出張先で買ったお土産を持参いたします」と伝えます。
他にも顧客のところに契約書を持っていく場合には、「お宅に伺う際に、契約書を持参いたします」などと使うことができます。
尚、「持参」する対象物は、金銭や価値のある物から、金銭的価値がない書類など、特に限定されることはありません。
自分で持って行く物であれば、全てに「持参」が使用可能です。
「持参いたします」を使った例文や文章
「持参いたします」を使った例文や文章
それでは、他に考えられる使用例を挙げてみましょう。
・『早速サンプルを持参いたします』
・『筆記用具を持参いたします』
「持参いたします」の類語や言い換え
「持参いたします」の類語や言い換え
「持参」は「持って行く」という意味ですので、「携えて行く」という「携行」「けいこう」で言い換え可能です。
よって、「携行いたします」が言い換え表現の第一候補です。
また、先程も説明したように、「持って行く」をそのまま謙譲表現と丁寧表現にすると「持って参ります」になるので、こちらでも代用可能です。
まとめ
まとめ
「持参いたします」とは、「金銭や品物を持って行く」という意味の謙譲且つ丁寧表現です。
また、「持参」自体は謙譲の意味はないため、「いたします」とのセットでも二重敬語(謙譲)には当たりません。