ネット上で使われている言葉に「IT土方」というものがあります。
この言葉はいったいなにを指しているのでしょうか。
今回は、「IT土方」の意味と類似表現について解説します。
「IT土方」とは?意味
「IT土方」とは?意味
「IT土方」とは、「IT業界において最前線の現場で酷使されながら働く労働者」を意味する言葉です。
「IT土方」の概要
「IT土方」の概要
「IT土方」の「土方」とは土木工事の現場で働く作業員を指す言葉です。
土木工事に対して汚く頭が悪くてもできる単純な仕事であると見下した侮蔑的な表現であり好ましくない言い方です。
「IT土方」というのは「知的でスマートというイメージが持たれがちなIT業界なのに土方のように酷使されている」という意味合いが込められています。
システムエンジニアやプログラマーなど肩書は立派なものの仕事の実態はドロにまみれて働く土方と大差がないどころか給料や勤務時間を考えればそれ以下の水準で酷使されている、というIT業界の現実を表した表現です。
「IT土方」と呼ばれるのはIT業界でも一番下に位置する労働者です。
エンジニアやプログラマーなど最前線の現場ではたらく彼らは勝手なことばかり要求するクライアントと低賃金でこき使う会社の両面から苦しめられながらも必死に働いています。
作業途中に要件が変更したり突然スケジュールが短くなったり完成間近になって原因不明のバグが発生したりと常に時間に負われながら過酷な現場ではたらく彼らはIT業界の華やかなイメージとはかけ離れた存在です。
「IT土方」というのはもともとそのような現場で働く人たちが自虐的に使っていた表現です。
「肩書だけは立派だが実際は土方と変わらないかそれ以下」という自嘲を含む表現であり、どんなにがんばってもキャリアアップにつながるチャンスは少なく非正規雇用など安定性にも欠ける境遇を嘆きつつも生きていくためには仕事するしかない悲哀が感じられます。
現場を支える優秀な人材であるのになぜ「IT土方」と呼ばれるほど労働環境が悪いのか。
それにはIT業界特有の複雑な事情が影響しています。
「下請け孫請けは当たり前の外注体質により予算のほとんどが中抜きで消えてしまう」「プロジェクト単位で仕事が進むため使い捨てが起きやすい」「最新知識が求められることから年令を重ねるほど扱いが悪くなりやすい」などの理由から仕事に対して十分な待遇が与えられない「IT土方」が大量発生してしまうとされています。
「IT土方」の言葉の使い方や使われ方
「IT土方」の言葉の使い方や使われ方
・『IT土方を抜け出したいが転職先が見つからない』
・『給料の安いIT土方のままでは結婚できる見込みがない』
「IT土方」の類語や言いかえ
「IT土方」の類語や言いかえ
・ブラックIT
「労働者に過酷な環境を強いるITの職場」を意味する言葉です。
ワンマンで立ち上げられたIT企業には労働者に過酷な環境と劣悪な待遇を強いるブラック企業が多く見られます。
「IT土方」が労働者を指しているのに対し、こちらは「IT土方」を雇用している企業を指す言葉です。
・IT奴隷
「奴隷のように働かされているIT労働者」を指します。
「IT土方」よりもさらに扱いが酷いだけでなく辞めたいのにやめられない、転職を邪魔するなど職場により縛り付けられている人に対して用いる表現です。
まとめ
まとめ
「IT土方」は現代における深刻な労働問題のひとつです。
本来は侮蔑の対象だった土方が行政の指導や意識改革により待遇が大幅に改善されていて昔のイメージが払拭されていることを考えるとIT業界も取り組み次第で環境改革は可能です。
労働者の自己責任で終わらせるのではなく社会としての救済が求められています。