製造の現場で、何かトラブルがあって対策を出す時に使われる言葉に「応急対策」「再発防止」「未然防止」があります。
これらの三語は、トラブルに対処するという意味で似ていますが、トラブルが起こってから解決するまでの期間に違いがあります。
この記事では、「応急対策」と「再発防止」と「未然防止」の違いを分かりやすく説明していきます。
「応急対策」とは?
「応急対策」とは?
「応急対策」は、急病人発生時や災害時、製造部門の現場での突発的なトラブルが生じた時に、緊急の対処を取る方法の事です。
「応急対策」の対義語は「恒久対策」であり、「応急対策」の応急的な対処では根本的な問題が解決できずに毎回トラブルが発生してしまう所を「恒久対策」に時間を掛けて取り組めば、何度も生じる似たトラブルを継続的に防ぐ事ができます。
「応急対策」の例文
「応急対策」の例文
・『災害の際の応急対策が、消防署の会議で行われた』
「災害応急対策」とは、急な災害時にどのような方法で人を救助するかを話し合い、示された取り決めです。
これに則り、非常時には消防署や公共団体の対策がなされます。
・『作業工程に不備が発生し、応急対策が取られた』
製造の工程では、機械に異常が見られることも多々あります。
その場しのぎにはなりますが、応急的な処置を行い、工程が動くようにします。
「再発防止」とは?
「再発防止」とは?
仕事などの場で、過去に一度発生した問題が再び起こらないようにする為、回避策を作り、それを実践して問題を防ぐ事です。
「応急対策」では問題に対しての簡易的なその場限りの対策ですが、「再発防止」では同じ事を二度と起こさないという気概が見え、「応急対策」よりも問題に対処する為の手間と時間が掛かります。
ちなみに、長期的な問題の発生を防ぐという意味の「恒久対策」は「再発防止」と似た意味の言葉であり、長期的に問題を発生させないという意味でこの二語は似ています。
「再発防止」の例文
「再発防止」の例文
・『製品の異物混入を二度と起こさない為に再発防止に努める』
商品のトラブルが発生した物を消費者が手にしてしまうと、クレームに繋がり、企業の管理体制を疑われるので、問題の「再発防止」が重要になります。
・『再発防止策が講じられても同じミスが起こったので、該当の従業員に再発防止策の徹底を呼びかけた』
「再発防止」策が出来てもそれを実践しないと問題は再び生じるので、現場に適応した実行しやすい策が立てられるのが理想です。
「未然防止」とは?
「未然防止」とは?
品質の悪い商品が流通してしまったり、作業現場で事故が発生する前に、問題が起こらないよう、環境を整え、現場の人間の意識を高めようと対策する取り組みです。
「再発防止」では一度は問題が発生していますが「未然防止」はまだ起こっていない問題を生じさせない事である点に、二語の違いがあります。
「未然防止」の例文
「未然防止」の例文
・『未然防止は、起こった事のない問題を予想し回避するという点で、再発防止よりも難易度が高いとも言える』
起こり得る複数のミスを予想して防止に努めるのは手間と長い時間が必要ですが、一度経験した問題の解決を求めるのは、「未然防止」よりも短時間で解決策を発見できるでしょう。
・『不備の部品を繰り返し出し続けるメーカーは、未然防止への取り組みの弱さがある』
応急処置的なその場の問題解決は出来ても、その問題の大元の原因を探らないと、長期的な目で見てトラブルが多発する事に繋がります。
「未然防止」とは、一つ一つの問題解決に安堵して終わる事ではなく、見えていない問題を探し出し、トラブルの多発を未然に防ぐ事で、重要ですが難しいテーマです。
「応急対策」と「再発防止」と「未然防止」の違い
「応急対策」と「再発防止」と「未然防止」の違い
「応急対策」は、起こったトラブルに対し早急な処置を求められる時の対策であり、問題を二度と起こさないという「再発防止」の意味は含まれていません。
「再発防止」は、一度発生した問題が再度起こるのを防ぐ取り組みです。
「再発防止」と「未然防止」の違いは、前者が一度はミスを起こしていますが、後者は一度もミスを起こしていない事にあります。
「未然防止」は、起こっていない問題を予想し、一度も起こさない為に対策を講じる事です。
まとめ
まとめ
これらの三語は、製造系の会社などでミスを防ぎ、お客様に安心して自社の商品を使っていただく為に重要な項目となります。
それ以外の企業においても、仕事を進める上で間違いのないようやり遂げる為に大事な事柄でもあります。
三語の使い分けとその意味を文脈に応じて理解できればよいでしょう。